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—すごい研究結果ですね

 

木村先生:古典より受け継がれた処方と口訣には、現代に適した解釈が必要なんです。処方の口訣に関する優先順位、すなわち重み付けを作ること。それは処方選択のために役立ち、実臨床に役立つ現代の口訣になると思っています。



——ご苦労も多かったんじゃないですか

 

木村:約10年かかりました。でもこの研究が、患者さんの最適な漢方治療に活かせるんじゃないかと思い、ずっと大学で研究を行ってきました。「トムラス」があったから、ここで研究をしてきたといってもいいくらいです。 

とはいえ、システムが老朽化し、また、コロナ禍で継続が困難となったため、今回、システムを一新しました。この10年、特にコロナ禍を経て患者さんたちのライフスタイルも変化したのと同時に、テクノロジーの世界もかなり進化しています。なので、これからの10年、さらにその先も、自分たちの臨床研究をさらに加速し、効率よく行うために、KAMPO 365customという新システムの導入(※2)を行いました。自分たちの実施したい臨床研究をイメージしながら構築できたと思っています。患者さんの治療の効果を上げるために、着実に運用・実用化できるようにしていきたいです。 

 

漢方薬は2000年前から始まって、現在まで続き、それを繋げていくことが、今の時代に生きる自分たちの責任でもあります。限られた資源なので、本当に必要な人に、適時かつ適量投与していくことを考えていきたいです。そのためにも、漢方独自の証の診断体系を 現代のテクノロジーや統計と併せて、 漢方治療のエビデンス化することが、大切だと思っています。 

 


※1 現代における口訣の検証と漢方医学的エビデンス構築―抑肝散陳皮半夏と釣藤散が有効な頭痛を中心にー (口頭発表,特別・招待講演等) 2017/06/03 79. 

※2 漢方専門医療機関向け漢方業務支援ソフトウェア KAMPO 365 custom 

https://www.kampo365.jp/custom




木村容子先生

東京女子医科大学附属東洋医学研究所所長・教授。医学博士。 

中央官庁入省(国家公務員Ⅰ種)。英国オックスフォード大学大学院に留学中に漢方と出会い帰国後、退職して東海大学医学部に学士入学。2002年から東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。日本内科学会認定医。日本東洋医学会認定漢方専門医・指導医。 著書にはベストセラーとなった『女40歳からの「不調」を感じたら読む本』(静山社文庫)をはじめ、『漢方の知恵でポジティブ・エイジング』(NHK出版生活人新書)、『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(さくら舎)、『〝なんとなく不調〟と上手につき合うためのセルフケア』(NHK出版)などがある。 最新書籍『60代70代80代をうまく老いる健康養生法 ―東洋医学2000年のすごい知恵 』が発売中  




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