漢方にまつわるニュースを毎月ピックアップしてご紹介するKAMPOニュース。
今月はこちらの情報をご紹介します。
漢方非専門医が使いこなす頭痛診療における漢方薬:現在と未来
および、慢性頭痛に対する漢方治療の実際
日本頭痛学会誌に、頭痛診療に対する漢方治療の記事が2本掲載されていました。国立長寿医療研究センターのサイトによると、国内における頭痛の患者数は4,000万人を超えるといわれています。慢性頭痛を抱えた患者さんが漢方薬の処方を求めて受診されることもあるでしょう。「慢性頭痛に対する漢方治療の実際」では、「頭痛の診療ガイドライン」に記載されている5処方の漢方薬(呉茱萸湯、桂枝人参湯、五苓散、釣藤散、葛根湯)のほか、主に薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛;MOH)のような、治療に苦慮する慢性頭痛の治療に向け、ガイドラインに記載されていない処方も含めて解説されています。
また、「漢方非専門医が使いこなす頭痛診療における漢方薬:現在と未来」では、漢方専門医ではない筆者が、頭痛外来に取り組むなかで西洋薬の限界と漢方薬の必要性を実感してきた経緯や、頭痛治療の代表的な漢方薬がどのような慢性頭痛に有効であるかを、症例を用いて解説しています。
・漢方非専門医が使いこなす頭痛診療における漢方薬: 現在と未来
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjho/51/1/51_159/_article/-char/ja/
・慢性頭痛に対する漢方治療の実際
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjho/51/1/51_117/_article/-char/ja/
== Other TOPICS ==
そのほか、最近発表された漢方医療関連のトピックスをご紹介いたします。
(閲覧に別途会員登録が必要なものも含まれます)
▼Association between complementary use of Goreisan (a Japanese herbal Kampo medicine) and heart failure readmission: A nationwide propensity score-matched study
(五苓散(日本の漢方薬)の併用と心不全再発との関連:全国傾向スコアマッチング研究)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0914508724001825
▼【第3回】感冒編1:葛根湯の本来の使い方「肩凝りに葛根湯が効く」は本当なのか
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/ito/202409/585736.html
▼The effectiveness of a Kampo e-learning course incorporated into the medical education curriculum: a possible solution to instructor shortages and time constraints
(医学教育カリキュラムに組み込んだ漢方eラーニングコースの有効性:講師不足と時間的制約に対する解決策の可能性)
https://www.researchsquare.com/article/rs-4955048/v1
▼Machine Learning Model for Predicting Cold-Heat Pattern in Kampo Medicine: A Multicenter Prospective Observational Study
(漢方医学における寒熱パターンを予測するための機械学習モデル:多施設前向き観察研究) https://www.frontiersin.org/journals/pharmacology/articles/10.3389/fphar.2024.1412593/abstract
▼Importance of Traditional Resources in Pharmaceutical Industries
(製薬業界における伝統的資源の重要性)
https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-981-97-4600-2_15
▼夜泣きに悩み、頼ったのは漢方でした 0歳から服用OK 全国的に珍しい「小児漢方内科」とは?
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/birth/90129/
== Event INFORMATION ==
<11月16日・土>第32回 日本脳神経漢方医学会学術集会
<11月22日・金>第34回 外科漢方フォーラム学術集会
など開催予定
▼今後開催予定の学会・研究会・講演会情報(閲覧には別途会員登録が必要です)
https://www.kampo-s.jp/event/information/2024.htm#2024_10
猛暑の夏から一転、10月に入ると気温、湿度ともに低下し、一気に秋の気候になりました。
気温が下がると増えてくるのが、かぜ症状の患者さんではないでしょうか。
かぜ症状の治療には、漢方薬をファーストチョイスにするのがよいといわれますが、症状、タイミング、患者さんの体力(虚実)などにより有効な漢方薬が異なるため、選択が難しいという声もよく耳にします。
私も長らく、かぜの際に使用する漢方薬の選択に迷っていましたが、ある時、桂麻各半湯を勧められてからはそれ一択になりました。
かぜのひき始めにすかさず飲むと、2~3回の服用でかぜ症状がおさまってしまいます。特に自覚症状のない流行時には補中益気湯を服用しており、ここ数年は桂麻各半湯と補中益気湯のおかげで、かぜで寝込むことがほぼなくなりました。私にとって心強い存在です。(文責:編集部Y)