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第3回目の「漢方クリニックの作り方」インタビューは、藤田医科大学 医学部 医学科 産婦人科学 臨床教授 西尾先生にお話を伺います。2024年4月に漢方外来をオープン。その背景や戦略についてお話を伺いました。
日々の診療の中で漢方の処方を求める患者さんの声と、漢方を学びたい医師の声によって生まれた藤田医科大学の漢方外来。2024年4月のオープンから産婦人科医の西尾先生にとって、初めてのことも多かったといいます。その中でチャレンジしたことなど、漢方外来のスタートから今に至るまでを語っていただきました。
————漢方外来を始めたきっかけは何だったのですが?
西尾先生:藤田医科大学はコロナの際に、積極的に漢方薬を取り入れた診療・処方をしていたので、コロ ナが落ち着いた今でも、漢方を求める患者さんは多いです。
さらに今回、後輩医師から漢方を学びたいという話をもらい、そのことが話のスタートになります。
————もともと人気のクリニックでの、新しい取り組みは注目されますね
西尾先生:メディアなどの出演でクリニックを知って来院される方もいますが、やっていることは普通の婦人科診療で、保険適用の範囲内です。そんな魔法のようなことはないんですが、漢方・更年期外来を始めたことで、専門的に患者さんを診られるようになりました。より患者さんのニーズにも応えることができるようになったと思います。
————実現させるためのプロセスはどうだったんですか?
西尾先生:そうですね。漢方の指導医という立場と、ちょうど准教授から教授になったタイミングだったので、だったら漢方の専門外来を始めてみようということで大学側にプレゼンテーションをさせてもらいました。
もともと漢方を学びたいという医師がいたことや、ほかの大学の先生や先輩たちにアドバイスなどもいただきながら、実現することができました。とはいえ、大学側がOKしてくれた一番の要因は、患者さんの漢方のニーズをしっかりプレゼンテーションできたことだと思います。
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————今回取材させていただくに際して、いろいろ調べたのですが、かなり多くの新聞やテレビ、ニュースメディアなどで取り上げられていましたね。
西尾先生:広報部とかなり密に連携しました。たくさんニュースにしてもらえたのはとてもうれしいです。
————うまく連携できた要因は何だと考えていますか?
西尾先生:一番は、広報部のスタッフに患者さんとして体験してもらったことだと思います。実際に、診察して漢方薬を飲んでもらって、実感してもらったこと。そのことによって、広報部のみんなも仲間のように、積極的に動いてくれました。取材などでも自分事として話せたんだと思います。
そのほかにも学生たちとの取り組みなどをInstagramに投稿していたので、新しく見えたのかもしれないですね。
————すごくいい成功事例ですね。実際外来として、来院される患者さんの変化などはありましたか?
西尾先生:今までに診たことがないような症例と出会っています。リハビリの先生からの紹介が多く、疼痛の患者さんなど、産婦人科では出会うことのない患者さんがいますね。
性別や年齢なども、今までとは違って、男性や高齢の方、自宅から遠い方も通ってきてくれています。
————広報部の方の頑張りで来院される方も多いとは思いますが、ほかの科の先生のご紹介が多いのですね
西尾先生:そうですね。ほかの科の先生が、なかなか治らない患者さんを紹介してくれることが多いですが、やはり2024年5月に客員講師の今 津嘉宏先生(※1)がテレビに出演したことの反響は絶大でした。初診の患者さんがかなり多く来院されました。
その当時は、漢方外来も立ち上がったばかりだったので、とてもいい告知になり、先生たちもフル稼働していました。
嬉しいことに、今でも通い続けてくれている患者さんがかなり多いです。
月1回の来院がベースですが、段々とプライベートな話などもしてくれるようになって、そうなると嗜好がわかるので、証の判定がしやすくなり、処方も出しやすくなりますね。
————漢方外来を始められて、気づいたことなどありますか?
西尾先生:漢方がものすごく患者さんに受け入れられているのを感じます。これは漢方外来に限ったことではないのですが、漢方を提案すると断られることはほぼないです。
だからこそ漢方医が増えたり、勉強できる場がたくさんあるといいなと思います。今、富山大学のアクティブラーニングを学生に取り入れて、学びの機会を増やしているんです。
今後はAIなども漢方の世界でも取り入れていく段階に入ってくると思うので、そのときには積極的に取り入れたいと思っています。
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————実際に何か動きはありますか?
西尾先生:2024年11月に文部科学省が発表した「橋渡し研究支援機関(※2)」の全国12施設に藤田医科大学が選ばれました。この制度は基礎研究の成果を実際に医薬品・医療機器などでの実現を目指した制度になります。このことも新しいチャレンジのる環境になるのではないかと期待しています。
————若い先生たちも興味を持ってくれそうですね
西尾先生:興味を持てるよう積極的に陪席してもらっています。当然、志向性や向き不向きもあるので、全員ということにはなりませんが、興味のある先生たちには、学べる場を提供したいと思っています。
2025年の年明けには、アクティブラーニングでもお世話になっている富山大学に勉強に行くことを計画しています。
いろんな方の話を聞き、環境を変えることもいいことだと思うので、今後も積極的に後進の育成をしたいです。
それが漢方外来の質をあげ、患者さんにお返しできることになると思っています。
※1 今津嘉宏先生:芝大門いまづクリニ ック院長/藤田医科大学医学部客員講師
https://commune.kampo365.jp/interview/1002
※2 橋渡し研究支援機関:橋渡し研究支援機関認定制度において認定された、優れた基礎研究の成果を革新的な医薬品・医療機器等として国民に提供することを目指す大学等の組織や機関
西尾永司先生
藤田医科大学 医学部 医学科 産婦人科学 臨床教授。
日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会産婦人科指導医、母体保護法指定医、日本生殖医学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア指導医、日本東洋医学会漢方専門医、日本東洋医学会指導医、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会マンモグラフィ読影医。