top of page

漢方薬は保険適用から除外されるのか?OTC類似薬の保険適用除外【KAMPOニュース 2025.3】

漢方にまつわるニュースを毎月ピックアップしてご紹介するKAMPOニュース。
芽吹きの季節である今月はこちらの情報をご紹介します。



「医療用漢方薬の保険適用除外に対し強く反対」
日本東洋医学会の声明


1月末、社会保険料を引き下げる改革案の一つとして、OTC類似薬を保険適用から除外するという提案がされました。この提案に対し、医療現場からはさまざまな懸念の声が上がっています。高額療養費制度の引き上げ問題では静観の姿勢であった日本医師会も、この件に関しては早々に懸念の意向を示しています。

現状、OTC類似薬の定義は曖昧ですが、薬局・薬店で購入可能な一部の漢方薬もその対象に含まれるのではないかと危惧した日本東洋医学会が声明を発表しています。


同様の動きは過去にも見られ、2009年や2015年にも議論がされました。しかしながら、医師の診断なしに患者さんが自己判断で漢方薬を選択・服用することには、誤用や不適切な組み合わせによる健康被害のリスクが伴います。そのため、過去の議論においては、漢方薬の保険適用が見直しの対象となることはありませんでした。

今回の提案も、過去の経緯を踏まえ、患者さんがこれからも安心して医療保険を利用して漢方薬による適切な治療を受けられることを、強く願います。


・OTC(一般用医薬品)と類似する医療用医薬品の保険適用除外の動きについて|日本東洋医学会

https://www.jsom.or.jp/images/pdf/OTC_Insurance%20Exclusions.pdf

・OTC(一般用医薬品)と類似する医療用医薬品の保険適用除外の動きについて (第2報)|日本東洋医学会

https://www.jsom.or.jp/images/pdf/OTC_Insurance%20Exclusions-2.pdf



== Other TOPICS ==

そのほか、最近発表された漢方医療関連のトピックスをご紹介いたします。

(閲覧に別途会員登録が必要なものも含まれます)


▼漢方をDXするVARYTEXが開発する漢方業務支援ソフトウェア 「KAMPO 365 custom」 慶應義塾大学病院漢方医学センターが漢方研究の充実を目的に導入を決定

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000077291.html


▼月経前症候群と月経前不快気分障害に対する漢方処方の特性を解明 | 近畿大学

Kampo Prescriptions for Premenstrual Syndrome and Premenstrual Dysphoric Disorder: A Secondary Analysis of Nationwide Survey by JSOG Women’s Health Care Committee

https://doi.org/10.1620/tjem.2025.J019


▼発作性めまいの管理におけるハーブ併用療法(※漢方薬の組み合わせ)の有効性:症例シリーズ

Efficacy of herbal combination therapy in the management of paroxysmal dizziness: A case series

https://doi.org/10.1002/tkm2.70003


▼頭痛専門外来における漢方薬の選択方法とその有効性

https://doi.org/10.50860/jjho.51.3_235


▼標準治療に黄連解毒湯を加えることで、胃食道逆流症に伴う重度の上腹部痛が急速に緩和される:臨床レター

Rapid alleviation of severe epigastric pain associated with gastroesophageal reflux disease through the addition of orengedokuto to standard treatment: A clinical letter

https://doi.org/10.1002/tkm2.70001


▼難治性認知症における社会的行動障害に対する幹細胞と漢方薬加味帰脾湯の回復効果

THE RECOVERY EFFECT OF STEM CELLS AND KAMPO MEDICINE KAMIKIHITO ON SOCIAL BEHAVIOR DYSFUNCTIONS IN REFRACTORY PSYCHIATRIC DISORDERS

https://doi.org/10.1093/ijnp/pyae059.259


▼船見正範の「薬学管理 ア・ラ・カルト」花粉症の時期、漢方薬の“あの成分”にも注意を!|日経メディカル

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/funamim/202503/587704.html




== Event INFORMATION ==

【開催予定】

<4月5日・土>第41回 日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会 ランチョンセミナー


<4月10日・木>第125回 日本外科学会定期学術集会 ランチョンセミナー


<4月17日・木><4月19日・土>日本ERASR学会第3回学術集会 モーニングセミナー


<4月19日・土>第112回 日本泌尿器科学会総会 ランチョンセミナー


<4月20日・日>第128回 日本小児科学会学術集会 モーニング教育セミナー


<4月25日・金>第111回 日本消化器病学会総会 ランチョンセミナー など


▼今後開催予定の学会・研究会・講演会情報(閲覧には別途会員登録が必要です)

https://www.kampo-s.jp/event/information/2025.htm#2025_04






先月の編集後記で花粉症に有効な漢方薬について触れましたが、その後日談です。おかげさまで、自分に合った薬を見つけることができました。それが荊芥連翹湯です。

実は、最初に葛根湯加川芎辛夷を試したものの、麻黄による胃腸への影響が気になっていました。そこで荊芥連翹湯に切り替えたところ、症状の緩和を実感し、現在はこちらに落ち着いています。以前、西洋薬の鼻炎薬を服用していた際に悩まされていた、のどの渇きや目の充血といった副作用もなく、穏やかな春を過ごせています。

あらためて感じたのは、顔まわりの炎症を緩和することで花粉症の諸症状を総合的に抑えるという、漢方薬ならではの視点の面白さです。言われてみれば納得なのですが、効果を実感すると、まさに目からウロコでした。

うまく合えば、本当にかゆいところに手が届く。今回の経験を通して、漢方薬の奥深さと恩恵を再認識しました。(文責:編集部Y)



bottom of page