慶應義塾大学病院漢方医学センターが漢方研究の充実を目的に漢方業務支援ソフトウェア導入決定【KAMPOニュース 2025.2】
漢方にまつわるニュースを毎月ピックアップしてご紹介するKAMPOニュース。
立春を過ぎ、体調のゆらぎが出やすい今月はこちらの情報をご紹介します。

「薬が使えない」 といわれることの多い妊娠初期において、
適切に漢方薬を利用するための安全性評価レビュー
妊娠中の女性には、なるべく薬を処方したくない――そう考える先生方も少なくないでしょう。しかし、「触らぬ神に祟りなし」と、薬の処方を見送ってしまうと、安全かつ有用な薬が使用されない可能性もあります。どの成分が安全でどの成分がリスクがあるかを科学的に明らかにすることは、妊婦と胎児の健康を守るために重要です。今回紹介する記事では、漢方薬を構成する生薬についての調査結果が取り上げられています。特に、妊婦に禁忌とされている生薬を含む漢方薬が頻繁に処方されていることについても言及されています。妊婦さんにかかわる方もそうでない方も、一度お読みいただきたい内容です。
・櫻井 敏博, 妊娠初期の漢方薬(生薬)服用による妊娠及び胎盤形成への影響, YAKUGAKU ZASSHI, 2025, 145巻, 1号, p.53-60
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/145/1/145_24-00174-3/_html/-char/ja
== Other TOPICS ==
そのほか、最近発表された漢方医療関連のトピックスをご紹介いたします。
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▼漢方をDXするVARYTEXが開発する漢方業務支援ソフトウェア 「KAMPO 365 custom」
慶應義塾大学病院漢方医学センターが漢方研究の充実を目的に導入を決定
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000077291.html
▼難治性認知症における社会的行動障害に対する幹細胞と漢方薬加味帰脾湯の回復効果:
Wataru Ukai, Kenta Deriha, Chiaki Kawanishi, et al. THE RECOVERY EFFECT OF STEM CELLS AND KAMPO MEDICINE KAMIKIHITO ON SOCIAL BEHAVIOR DYSFUNCTIONS IN REFRACTORY PSYCHIATRIC DISORDERS: International Journal of Neuropsychopharmacology, 28, Issue Supplement_1, February 2025, i150-i151.
https://doi.org/10.1093/ijnp/pyae059.259
▼日本人患者における抗がん剤治療中の支持療法としての 漢方薬の使用傾向:2015年度から2021年度までの全国コホート分析:
Ohta, H. Yasu, T. Trends in Kampo Medicine Usage as Supportive Care During Anticancer Drug Treatment in Japanese Patients: A Nationwide Cohort Analysis from Fiscal Years 2015 to 2021. Curr. Oncol. 2025, 32, 100.
https://doi.org/10.3390/curroncol32020100
▼漢方薬である治打撲一方の術後投与は眼瞼形成術後の出血と疼痛を軽減する:単盲検ランダム化比較試験:
Takaya, K., Kishi, K. Postoperative administration of jidabokuippo, a kampo medicine, alleviates postoperative ecchymosis and pain after blepharoplasty: a single-blind randomised controlled trial. Eur J Plast Surg 48, 20 (2025).
https://doi.org/10.1007/s00238-025-02279-5
▼日本東洋医学会所属の漢方専門医および認定医を対象とした臨床研究に対する意識調査:
Takaya, K., Kishi, K. Postoperative administration of jidabokuippo, a kampo medicine, alleviates postoperative ecchymosis and pain after blepharoplasty: a single-blind randomised controlled trial. Eur J Plast Surg 48, 20 (2025).
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/tkm2.1444
▼頭痛を伴うめまいに対する漢方治療の検討:
呉 明美, 木村 幸弘, 藤枝 重治 他: 耳鼻咽喉科臨床, 2025, 118(2), 93-98
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibirin/118/2/118_93/_article/-char/ja/
▼下痢型過敏性腸症候群における半夏瀉心湯 の症状と腸内細菌叢への影響:後ろ向き分析:
Naohisa Yoshida, Takeshi Yasuda, Yoshito Itoh, et al: The Impact of Hangeshashinto on Symptoms and Gut Microbiota in Diarrhea-type Irritable Bowel Syndrome: A Retrospective Analysis, Journal of the Anus, Rectum and Colon, 2025, 9(1), 105-116
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jarc/9/1/9_2024-068/_article/-char/ja/
▼伝統的な日本の漢方薬であるヨクイニン(薏苡仁)の、子宮頸部前がん病変の治療における有効性:
Kiyoshima et al.: Effectiveness of the Traditional Japanese Herbal Medicine, Yokuinin (Kampo), in the Treatment of Cervical Precancerous Lesions: Cureus 17(1). e77114.
https://doi.org/10.7759/cureus.77114
▼ドイツにおける疼痛管理のための日本漢方薬の経験:
Heidrun Reisenweber-Hewel: Experiences with Japanese Kampo medicine for pain management in Germany - Reisenweber‐Hewel: Traditional & Kampo Medicine
https://doi.org/10.1002/tkm2.1443
== Event INFORMATION ==
【開催予定】
<3月12日・水>医学書院【無料Webセミナー】ジェネラリストNAVI Presents「どう診る? どう処方する? 困ったときの漢方活用術」
https://www.igaku-shoin.co.jp/seminar/detail/250312sem
<3月15日・土>東海大学医学部専門診療学系 第75回漢方教室「花粉症を治そう! ~東洋医学と生活習慣の工夫~」
https://www.tokai.ac.jp/news/detail/_75_2020.html
<3月8日・土>第60回 日本東洋心身医学研究会
<3月27日・木>福岡日本薬学会第145年会 ランチョンセミナー
<3月29日・土>神奈川第89回 日本循環器学会学術集会 ランチョンセミナー など
▼今後開催予定の学会・研究会・講演会情報(閲覧には別途会員登録が必要です)
https://www.kampo-s.jp/event/information/2025.htm#2025_03

そろそろ花粉が気になる季節ですね。目のかゆみ、咳、鼻水、鼻づまり、肌荒れなどなど、春先の花粉はさまざまな不調を呼び起こします。「漢方薬で花粉症対策をしよう!」という記事もいくつか見かけました。花粉症向きの漢方薬というと小青竜湯のイメージが強いですが、実は越婢加朮湯、麻黄附子細辛湯、苓甘姜味辛夏仁湯、そして五苓散なども効果的であることを知り、いろいろ試したくなっています。熱証で鼻水や目の充血が気になる私は、どうやら越婢加朮湯の適応がありそうなので、さっそく飲んでみようと思います。皆さまも一緒に漢方薬で花粉症対策してみませんか?(文責:編集部Y)