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第2回目の「漢方クリニックの作り方」インタビューは、丸の内の森レディースクリニック理事長の宋美玄先生と漢方外来の担当医 吉住先生にお話を伺います。2024年4月にスタートした漢方外来をなぜ今オープンしたのか、その理由や来院される患者様についてそれぞれの目線からのインタビューをお届けします。



宋先生のメディアなどの出演や丸の内という立地から、常に患者さんが留まることのない「丸の内の森レディースクリニック」ですが、2024年4月、診療室を増やしクリニックを移転開業。そのタイミングで新しく開設された漢方・更年期外来は、クリニックとしての差別化にもなったと宋先生は語ってくれました。 

 

————漢方・更年期外来を始めたきっかけは何だったのですが? 

 

宋先生:婦人科外来として、産科も婦人科もやっているのですが、患者さんの中には、 西洋医学、ホルモン治療などでは不調が解消しないという方もいらっしゃるんです。東洋医学的なアプローチもありかと考えて、どうにか解決したいという思いはありながらも、前のクリニックでは診察室数が少なく、なかなか対応できていませんでした。 

 

クリニックを今の場所に移し、診察室数も増やしたタイミングで、大学の産婦人科医局の後輩でもあった吉住先生とコミュニケーションを取る中で、漢方の外来を担当してくれるということになり、そこから開設することにしました。 

 


————もともと人気のクリニックでの、新しい取り組みは注目されますね

 

宋先生:メディアなどの出演でクリニックを知って来院される方もいますが、やっていることは普通の婦人科診療で、保険適用の範囲内です。そんな魔法のようなことはないんですが、漢方・更年期外来を始めたことで、専門的に患者さんを診られるようになりました。より患者さんのニーズにも応えることができるようになったと思います。 



 

————実際に患者さんの反応はどうですか? 

 

宋先生:スタートする際、HPで告知しただけなんですが、想定以上に予約が入りました。すごい需要があることを改めて感じました。職場が近くて来院される患者さんも多くいますが、わざわざか漢方外来のために遠方からくる方もいるほどですよ。そしてリピーターが多いのも特徴です。今のところまだ週1回の外来になっていますが、次回の予約も取って帰られます。医師として患者さんが症状と向き合ってくれていることもですし、クリニック運営としても、とてもうれしい状態です。 

 

————般外来の患者さんへの影響などはありましたか? 

 

宋先生:一般外来で来院されている患者さんでも、漢方外来に興味をもたれて予約されて、婦人科と漢方外来と両方通われている方もいます。 

 


————漢方・更年期外来の患者さんはどんな方が多いですか? 

 

吉住先生:更年期と銘打っていますから、基本的には40代後半から50代の方の更年期障害で実際に困っている方や、私はこういう症状があるんですけど、これって更年期なんですか?と不安になって来られる方が多いです。  

でも、一般外来からは20代などの方もいらっしゃいます。 

全体的に言えるのは、健康意識の高いというところですね。 

 


————患者さんの漢方とのかかわりについてはどうですか? 

 

吉住先生:以前も漢方薬を飲んだことがある方もいらっしゃいますね。例えば、若い時は月経困難症とか、PMSで生理がつらくて漢方薬を飲んでいて、間は空いたけど、また漢方のお世話になりたいとくる方。逆に最初から漢方と決めず、更年期外来という言葉の方で来院を決めている患者さんもいます。そういう方はまず更年期なんでしょうかと質問されて、更年期の場合にどういう選択肢があるか相談されます。 



————漢方を処方されないこともあるんですか? 

 

吉住先生:このクリニックは婦人科クリニックなので、漢方に限らずホルモン療法や漢方薬も含め、選択肢は多めに提示します。その上で自分で選んでもらうようにしています。 

 

もともとモチベーション高く来院される患者さんが多いので、自分で選択したという意識が大切だと思うんです。その決定でホルモン補充療法から始めて、それだけでちょっと足りない場合に漢方を処方します。併用されている人も少なくないですね。 

 

宋先生:漢方外来で通っている方でも、一般婦人科に時にはかかるようなこともあります。そういった意味では、漢方・更年期外来を始めて、より多くの患者さんに門戸を広がられたと思います。 

 

————そのほかクリニック作りで工夫されていることはありますか? 
 

宋先生:クリニック自体、森の中で癒されるというコンセプトで作っています。病院に来たというイメージや緊張感を少しでも和らげられるように心がけて、待合室も診察室もデザインしています。診療室ごと、壁紙の色やデザインが違うんです。 

リラックスというのも、新しいクリニックの在り方として大切だと思っています。 

 

漢方・更年期外来の新設、そしてコンセプトのあるクリニックデザイン、このようなことで今の女性の健康ニーズに応えて、また来たいと思えるクリニックを作り続けていきたいです。 






宋美玄先生 

丸の内の森レディースクリニック理事長、一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事 産婦人科専門医・医学博士・FMF認定超音波医・日本産科婦人科遺伝診療学会認定医。大阪大学医学部医学科卒業。丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行い、産婦人科医の視点から社会問題の解決とヘルスリテラシーの向上を目指して活動中。主な著書に、ベストセラーとなった「女医が教える本当に気持ちいいセックス」がある。 

 

吉住奈緒子先生 

大阪大学医学部医学科卒。 大阪府立急性期・総合医療センター、厚生労働省医系技官などを経て、現在は東京女子医科大学附属東洋医学研究所 助教。 専門は公衆衛生、東洋医学。 



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